【獣医師が解説】犬や猫が「熱い」と感じたら?発熱の原因・検査・治療と病院へ行く目安

どうも、かまた本町動物病院の院長、芹沢和也です。

今日は、飼い主さんが一番焦るサインの一つ、**「ペットの発熱」**についてお話しします。

「なんだか体が熱い気がする」「耳を触ったらいつもよりポカポカしている」……。 そんなとき、家で様子を見ていいのか、すぐに病院へ走るべきか迷いますよね。

今回は、犬や猫の発熱の原因から、病院で行う検査、そして治療法まで、どこよりも分かりやすく解説します。


1. そもそもペットの「発熱」って何度から?

結論:39.5℃を超えたら「発熱」のサインです

犬や猫の平熱は、人間よりも少し高めです。 通常は38.0℃〜39.0℃くらいが一般的。 そのため、39.5℃を超えてくると「熱があるな」と判断し、40℃を超えると早急な対応が必要になります。

理由は、動物の体温調節機能にあります

犬や猫は、人間のように全身で汗をかいて体温を下げることができません。 主に呼吸(ハアハアというパンティング)や、足の裏のわずかな汗で調整しています。 そのため、一度熱が上がると自力で下げるのが難しく、体力を大きく消耗してしまうのです。

例えば、こんな時は要注意です

  • 耳の内側や股の付け根を触って「熱い」と感じる
  • 鼻が乾いている(寝起き以外)
  • 元気がなく、じっとしている
  • 呼吸が浅くて速い

2. なぜ熱が出るのか?(主な原因と種類)

「熱がある=風邪」と思われがちですが、実はその裏には様々な病気が隠れています。 これを医療用語で**「鑑別疾患(かんべつしっかん)」**、つまり「似た症状の中から原因を絞り込むこと」と言います。

① 感染症(ウイルスや細菌)

最も多い原因です。体の中に悪い菌やウイルスが入ってきたとき、体がそれらをやっつけようとして熱を出します。

  • 猫風邪(ウイルス性鼻気管炎など)
  • 細菌感染(膿瘍や膀胱炎など)
  • フィラリア症などの寄生虫

② 炎症(えんしょう)

体の一部が火事のように赤く腫れている状態です。

  • 膵炎(すいえん): 脂肪の多い食事などが原因で膵臓がダメージを受ける。
  • 子宮蓄膿症(しきゅうちくのうしょう): 子宮に膿が溜まる、メス特有の緊急疾患。

③ 免疫介在性疾患(めんえきかいざいせい)

自分の体を守るはずの「免疫」が、間違えて自分の体を攻撃してしまう病気です。

  • 免疫介在性多発性関節炎: 関節に炎症が起き、激しい痛みと熱が出ます。

④ 腫瘍(しゅよう)

いわゆる「がん」です。腫瘍細胞が熱を出す物質を作ることがあります。

⑤ 熱中症(非炎症性の高体温)

これは病気による発熱ではなく、外気の影響で体温が上がりすぎてしまった状態です。 これからの季節、蒲田周辺のお散歩でも特に注意が必要です。


3. 病院ではどんな検査をするの?(診断の流れ)

熱がある原因を突き止めるために、当院ではステップを踏んで検査を行います。

結論:まずは「身体検査」と「血液検査」が基本です

どこが痛いのか、どこが腫れているのか、まずはじっくり全身を触ります。

理由は、熱の出どころを探るためです

熱はあくまで「結果」です。どこかで火事が起きているから熱が出るのです。その「火元」を探す必要があります。

具体的な検査メニュー

  1. 触診・聴診: お腹の痛みや、心臓・肺の音をチェックします。
  2. 血液検査: 白血球の数(炎症の強さ)や、内臓の数値を調べます。
  3. レントゲン・超音波検査: 体の中(お腹や胸)に異常がないか、画像で確認します。
  4. 尿検査: 尿路感染症がないかを調べます。

4. 熱を下げるための「治療法」

原因が分かったら、すぐに治療を開始します。

結論:原因に対する治療と、体を楽にする治療をセットで行います

理由は、熱だけを下げても解決しないからです

解熱剤(げねつざい:熱を下げる薬)を使うこともありますが、原因(例えば細菌感染)を治さない限り、薬が切れればまた熱は上がります。

例えば、こんな治療をします

  • 感染症の場合: 抗生物質(菌を殺す薬)を投与します。
  • 脱水がある場合: 点滴(てんてき)を行い、水分を補給して体温を安定させます。
  • 炎症がひどい場合: 抗炎症薬(腫れを抑える薬)を使います。

⚠️ 注意! 人間用の解熱剤(アスピリンやロキソニンなど)を絶対に与えないでください。 犬や猫には毒性が強く、命に関わる副作用が出る危険があります。


5. 飼い主さんに知っておいてほしい「緊急度」の見極め

「明日まで待っても大丈夫かな?」と迷った時の目安をお伝えします。

すぐに病院へ来るべきサイン

  • 体温が40.5℃以上ある
  • ぐったりして呼びかけに反応が薄い
  • 呼吸が苦しそう、舌が青紫っぽい
  • 何度も吐いている、または激しい下痢

これらは一刻を争うサインです。診療時間内であればすぐにお電話ください。


まとめ:早期発見が大切な家族を守ります

ペットは言葉で「熱があってツライ」と言えません。 だからこそ、毎日スキンシップをして、彼らの「平熱」を知っておくことが、究極の病気予防になります。

「なんだかいつもと違うな?」 その直感は、意外と当たっているものです。

少しでも不安を感じたら、一人で悩まずに私たちを頼ってくださいね。 蒲田の地で、大切な家族の健康を全力でサポートさせていただきます。